2017年06月18日
日本一のモグラ駅 土合駅で乗り降りしてみた!(後編)
日本一のモグラ駅、上越線土合駅訪問記の後編です。
【前篇】

土合駅には、上り列車で地上ホームに到着し、今度は地底深くのホームから下り列車で折り返します。
3時間ほど散策した後に、また土合駅に帰ってきました。
(散策した時の話は、またいつか書きたいと思います。)
【前篇】
2017/06/16

土合駅には、上り列車で地上ホームに到着し、今度は地底深くのホームから下り列車で折り返します。
3時間ほど散策した後に、また土合駅に帰ってきました。
(散策した時の話は、またいつか書きたいと思います。)

土合駅に発着する定期列車は、上下わずか5本ずつしかありません。
関東と新潟方面を行き来する人は、ほとんど上越新幹線を使うのでしょう。
下りの初電は8時台と随分遅めですし、上りの終電は何と18時過ぎです。
駅の周囲に普通の民家があるわけではないので、登山者と鉄道好きくらいしか利用者がいないので、これで十分なのかもしれません。

普通に左が1番線で右が2番線のような表記になっていますが、右の2番線は数十m先にあるものの、左の1番線は何しろ地下70mにありますから、かなりの違いです。
ホームが遠いため、有人駅だった頃は1番線(下り列車)の改札を発車10分前に締め切っていたそうです。

矢印に従って進むと、前方にまた矢印が見えます。
冬になると雪が積もるからか、屋根と壁に覆われた通路になっています。
何となく坑道の入口のような雰囲気です。

通路に窓があるので明るさはそれなりにありますが、夜に通ろうとしたら不気味な感じです。
閉所恐怖症の方にはおすすめできません。

通路の窓からは、先ほど通ってきた駅舎が見えます。

連絡通路は、先ほどこの通路を見上げて写真を撮った駅前のバス停のそばを通り、国道を跨ぎます。

出口までの距離表記がm単位ではなく、km単位で表示されているのが普通の感覚とは違いますね。

しばらく行くと、引き戸で仕切られています。

引き戸の先には、行く手を遮るようにホームの方向に向かって「>」の形をした壁というか、板がどーんと鎮座しています。
これはトンネルから吹いてくる風除けだそうです。
単線の断面の小さなトンネルなので、列車がトンネルに入った時に空気が押し出されてくるのでしょう。

この風除けを避けて、さらに連絡通路を進みます。

アーチ型屋根の連絡通路の先に、いよいよ地底への入口が見えてきました!

窓の下には川が見えています。
ここを過ぎれば、ホームへ下る階段で一気に地底へ降りていきます。

これがホームへ降りるトンネルです。
右側の柵の外側は、エスカレーターの設置スペースとして開けてあったのだとか。
今は1日の平均乗車人員が20名程度なので、造らなくて正解でした。

パッと見では、トンネルはどこまで続いていそうな感じです。
この状況だけを見たら、ホームへの連絡通路だとは想像できません。

トンネルの入口に掲げられている銘板には、「連絡通路」と明記されています。
長さは、326m89、幅は7mと書かれています。
4年の歳月をかけて完成したようです。

階段の途中には、ところどころ休憩ができるように木製のベンチがあります。
登山の大きな荷物を持ったお客さんが多いでしょうから、必要なのでしょうね。
関東から来た登山者にとっては、谷川岳に登る前の準備運動といったところでしょうか。

エスカレーターのスペースには、トンネルの壁の継ぎ目から漏れ出てきた湧き水が流れています。
このトンネルの中でせせらぎの音が聞こえて、何となく心が落ち着きます。

ようやく階段の最下部、ホーム面までたどり着きました!
この地下深くにいるのは、自分1人…。
後ろを振り返り見上げると、遠くに地上の明かりが小さく見えています。
階段の左には段数が書かれていて、5段ごとに踊り場があることがわかります。

階段の脇には、このモグラ駅の案内看板があります。
改札まで、462+24段の階段を経ないとたどり着けません。

駅のホームから連絡階段のトンネルに入るところには、黄色い「出口」と書かれた看板がぶら下がっています。
看板は普通の駅にある出口の案内看板と同じものですが、周囲の状況からすると非常口か脱出口という雰囲気です。

土合駅のホーム部分は、思っていたより広い空間でした。
単線の1面1線のトンネルにしては、かなり幅が広く天井が高いです。

元々あったホームよりさらに前に新しいホームが造られています。
元のホームは、普通列車しか停まらない駅にしては幅が広く10両分以上の長さがあり、待合室やトイレがあります。
新しいホームは幅が狭く、6両分程度の長さしかありません。
(それでも十分長いですが。)

ついに、日本一のモグラ駅のホームにやってきました!
海抜は583mですが、地表からは約70m下にあるわけです。
※動画です。
ホームを探索していると、トンネルの奥から轟音が聞こえてきます!
まだ列車の到着時刻まで20分以上あるはずなのですが…。
案内放送も接近のアラーム音も何もありませんが、明らかに地響きと轟音が近づいてきます。
とりあえず危険かもしれないので先ほどの出口のところまで退避して、轟音の近づいてくる方向をじっと見つめていると、列車のヘッドライトが見えてきました!
貨物列車の通過です! (画像をクリックすると、動画の再生が始まります。)
思ったほど風圧は高くなく、特に危険は感じませんでしたが、迫力は満点でした。

再び、駅の中の探索を再開します。
ホームの端まで来ると、トンネルがなぜ広いのか、そしてなぜ古いホームの前面に新しいホームを造ったのかが分かります。
開通時の土合駅は1面1線ではなく、本線と待避線のある駅でした。
ホームのある線路は本線ではなく待避線になっていました。
おそらく、特急や貨物列車の通過待ちをしていたのだと思います。
上越新幹線が開通する前は、1時間に1本以上の特急が走っていたはずですから、土合駅で通過待ちをする必要があったのでしょう。
しかし、現在では1日5往復の普通列車と、その他に貨物列車が10往復ほどしか走らないので、土合駅で追い抜きをする必要は無くなりました。
こんな地底深くのトンネルにポイントがあってもメンテナンスが大変になるだけなので、ポイントを撤去して棒線化したようです。
わざわざホームを新設してでもポイントを撤去したところをみると、可動部分が多いポイントのメンテナンスは費用も手間も大変なのでしょう。
スローシャッターでトンネルを撮影したので、駅の部分のトンネルだけが幅が広く、駅の先に見えるトンネルは断面が小さいことがわかりますね。

土合駅は谷川連峰の地下を抜ける新清水トンネルの途中にあるので、ホームは7~8パーミルの上り勾配の途中にありました。
土合駅からは、湯檜曽方出口まで3.9km、土樽方出口まで9.6kmもあることがわかりますね。

そうこうしているうちに、ようやく下り普通列車が到着しました。
結局、この列車に乗り込んだのは私を含めて2人だけ。
写真を撮ると、置いていかれないように早々に乗り込みました。
何しろ、この電車に置いていかれたら、次の電車は3時間後ですから…。
(おわり)
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Posted by Science_City at 23:52│Comments(0)│関東・甲信越
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